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禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第三話 深まっていくmystery 解決はimpossible

 古びた館で、選択を迫られる快。 快の今までの疑問に対する、一部一部の解答をアイネスは答えた。 だが、それでも快はまだ発言を渋っていた。 与えられた情報への確証が掴めない以上、返答はできずにいた。 「どうしたの」 ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第二話 出会ってしまったdestiny 引き込まれてくabyss

 怪人の魔の手から逃げ延びた快は、足を休まていた。 やってきた先は、公園から西へ四km離れた商店街。 動悸の治まらない胸を抑えつつ、快は呼吸をその場で整える。 (あんな奴を相手にするっていうのか………) 恐ろしく伸...
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異種族の総合脅威度・脅威度について

総合脅威度とは  身体能力や保有する魔力などを総合し、人類・魔族・天使・神にとっての脅威度、危険度を表すものである。 これに関する情報伝達の際には、総合脅威度はアルファベットと数字で表記され伝えられる。 またアルファベッ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一話 始まってしまったstory 開くはtaboo

 「…………こんなことをした、こんな運命を背負わせた奴の顔を見てやろう」 病室で、少年は手に持った銀のカードを見つめ一人呟く。 少年の名は、氷空 快。 生まれついて病を患い――その命わずかとなっている身である。 そ...
禁忌の召喚者

ー禁忌の召喚者ー 第零話 Who are you ?

誰もが寝静まった、都内の病室。 白いベッドで、ただ死を待つばかりの少年が一人点滴を受け、天井を見ていた。 少年の余命、それは夏の終わりと共に告げられるという。 医者の宣告では、二か月。 生まれつきの原因不明の病を患...
孤独なる魔王

孤独なる魔王 Beelzebub編  大地が枯れ 天は曇る(true&false)

「バアルゼブル! バアルゼブル!」 バアルゼブルは霞む目を、聞き馴染みある声に答え、無理矢理開ける。 「うぅ…………あ、アニー…………」 目の前で、心配そうにアナトはバアルゼブルの頭を撫で前髪を流す。 「何があった...
孤独なる魔王

孤独なる魔王 Beelzebub編  豊穣の王は地上にて

 魔界の中でも、最も謎めいた魔王の器の、悪魔属。 ふらりと食べ物を片手に現れては、目に映る者を小馬鹿にしたような笑みをたたえる、緑髪の悪魔の少年。 彼は、如何にして魔界へ堕ち、蠅の王となったのか。 これは、ある一族の末裔...
孤独なる魔王

孤独なる魔王 Lucifer編 第三部 輝きの潰えた日

 冥界にて、謀略を巡らせる”偽りの王”。 驕れるままに只、サタナエルは岩山の玉座で己に付き従う者達の軍を編成する。 その隣に居るのは、天界の至高にして唯一無二の偉大なる天使の長。 ルシファーである。 ルシファーは、...
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孤独なる魔王 Lucifer編 第二部 堕ちる明星、嘆く空

 不服そうに、互いから目を背ける階級の高い天使が二人。 天界の酒場で、互いに離れた席で酒を飲むルシファーとサタナエル。 ルシファーは、酒場のテーブル席でミカエルの隣に座り談笑しつつ酒を交わしていた。 「るしふぁーさまぁ、...
孤独なる魔王

孤独なる魔王 Lucifer編 明星は高く在り

 天界。 そこは、清き生命達の楽園。 聖なる場所。 天使たちが歌い、純白の、雲の様な美しい大地には花が咲き誇りそこに生きる生き物たちは天使たちの喜びの歌に旋律を奏でる。 「聞くのだ、我が愛すべき子供たちよ」 ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王ー最終話ー交響ー

 戦を終わらせ、プエルラは各種族から恐れられた。 だが、それと同時に希望の象徴となっていた。 敗北宣言の後の、反抗する本気の魔王を含む全員を前に傷一つつけずに力でねじ伏せたからである。 レクスを超える脅威として。 ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王ー二一話ー終末ー

 魔王達の進軍により、人類の楽園たる大国は、地獄へと変わっていく。 三大都市の内の、最後の一つ__ブロード王国最北端に位置する通称【魔術の園】が、大悪魔によって蹂躙されていた。 振る雪の、美しい町。 魔術の園に暮らす人々...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王ー第二〇話ー魔王ー

 魔界は、種族の境無くあらゆる魔族で賑わっていた。  悪魔属魔王城の城下町の大広間は、魔界の中でも特に魔族が集まっていた。 そこには__真ん中に巨大な魔法陣が展開されており注目を浴びていた。 その魔法陣を通し、魔王達は人...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第一九.五話ー笑顔ー

澄み渡る青空に交じる、草木と大地の匂い。周りを見渡せば、柵の先に居る牛や馬、家畜とそれの世話をする頭にバンダナを巻いた人達が見える。のどかで、どこか狭くもぬくもりに満ちた穏やかな農村。そんな村に、人一倍力自慢の子供が居た。赤髪で、乱暴者な...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第一九話ー転生ー

 叢雲に閉ざされた空。 周囲から漂うは雨の湿った匂いに交じる仄かな血の匂い。 そこは、吸血鬼属の魔王が領域。 魔界の一端、ドラキュラ城である。 城の中の二階の部屋には、真っ赤なカーペットの上に置かれた豪華な造形の椅...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王一八話ー再起ー

吸血鬼属は、人間への擬態に優れた一族である。 故に、かつての人間との戦争では財力などの水面下の戦力を奪うことによって魔王に貢献していた。 「愛おしくも哀しき同胞達よ__反撃の刻だ」 逢魔が時を示す空を、黒煙の如き軍勢で覆...
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魔族について

魔族。それは人知を超えた力を持つ魔界に存在する生物の総称である。その多くは、地上に棲む全生物を凌駕する膨大な魔力と身体能力を保有しており、不老不死で、最底辺悪魔属であるインプですらも岩を砕くほどの力を持っている。また、魔族にはそれぞれ様々...
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ー孤独なる魔王一七.五話ー勇者ー

 名もなき村で育ったとは思われぬであろう天を穿つ程の得体。 雷を宿したが如く、鋭い眼。 鮮血を浴び続け染められたとさえ思わせる、深紅に燃える長き毛髪。 怪力無双にして、歴戦不敗。 彼の者に敵は無し。 魔族を組...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王一七話ー再臨ー

 それは、衝撃だった。 幼き少女の放った、情動だけを煮詰め、己の魔術と化して顕現させた、召喚魔法というにはあまりにも特異なもの。 その姿は、まさしく彼の者を彷彿とさせた。 屍の山を築き上げ、刃の雨を降り注がせ蹂躙していく...
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ー孤独なる魔王第一六話ー再生ー

 気が触れそうな程の精神への重圧と、全身を切り裂くような激痛に悶えながら、プエルラは意識を保つ。 周囲の集まっている魔族は、プエルラの様子に驚いているようだった。 「がああああああああ!!!!」 プエルラの体に刻まれたあ...
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魔族の階級、爵位

魔族の階級、爵位は基本”総合脅威度”と魔界への生息期間によって決められる。 上位であればあるほどに魔王選挙戦で戦闘力的にも、名声的にも他の魔族からの支持を集めやすく、優位に立てる。 また、昇格される条件として主に二つあ...
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ー孤独なる魔王第15話ー再会ー

 荒れ狂う魔界の海に浮かぶ、絶海の孤島。 そこは、見渡す限りが岩場で覆われており、ところどころに亀裂が入っている。 生き物が生息している様子もなく、ぽつりとその場に取り残されたようにプエルラは立ち尽くしていた。 奥、西へ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第十四話ー捜索ー

 魔界の海を泳ぎ、プエルラはわずかな力を振り絞り島へと向かった。 無我夢中で体を動かし、やがて目の前に浅瀬が現れ、小さな手が浮力から離れた瞬間_ プエルラは海の藻屑と共に、力なく波に晒され全身を脱力させた。 しばらく倒れ...
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ー孤独なる魔王13.5話ー人間ー

 活気と歓声に溢れた、王都にて男は人々の祝福を受ける。 人々は自国の英雄の帰還を、自身らの王のその勇姿を一目見ようと、男の側を囲うように集まっていく。 ここは、ブロード王国。 世界でも有数の、広大な領土を保有する大国家で...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第13話ー絶望ー

 魔界の海。 そこはあらゆる水棲の魔族が生息し、陸の魔族とは全く別の文化、全く違う言語を使う種族の集う広大な海。 魚人にタコ型の魔族、マーメイド……そしてそれらの食物連鎖の頂点に君臨する巨大なイカの下半身を持ち、サメの様にとが...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第12話ー熾烈ー

何者をも通さぬ、狭く暗い洞窟に少女はたたずむ。 ピチョン、ピチョンと水の滴る海底洞窟にただ独り。 「はあ…っ!! 」 全身に力を籠め、魔力を回す。 目の前ですべてを奪っていった憎き男の顔を思い浮かべ、目の前に投影さ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第11話ー覚醒ー

何も見えない暗闇に、少女は佇む。 その目に映るのは、虚無。 「ここは、どこ? 」 歩みを進めども、不思議に思う程に疲れずに、不気味な程に、無音で殺風景な風景が拡がっているだけだった。 「……お爺様? ……お父様? ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第10話ー暗闇ー

魔界の空に響き渡る翼のはためく音。 それを鳴らすは、少年を乗せた魔獣の王。 向かうは魔界病院。 空中を羽ばたかせながら背に乗るユンガの方を向いた。 「………しかし、良いのか」 「……何が、です?」 「そ...
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ー孤独なる魔王第07話ー戦場ー

「じいじ、本読んで~!」  無邪気に、ソファーの後ろにある赤い表紙の本を抜きそれを目の前に差し出す孫娘。  それは、お前にはまだ早い魔術書だよ。 儂わしはそっと本を孫の小さな手から元の場所へ戻し、代わりに昔読み古した簡単...
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ー孤独なる魔王第04話ー地獄ー

「ダリャァ!!」 金属同士が擦れ、火花が散る音が、塔の中に響く。 しかしそこで行われているのは武器による戦闘では無く、獣同士の争いのような、素手による乱闘だった。 悪魔の爪を、男は鎧の籠手でいなし拳を顔面に当てる。 ...
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