ある王宮錬金学術師の譫言

ある王宮錬金学術師の譫言

ある王宮錬金学術師の譫言 破転起

 破壊され目の前に散らばった短剣と、鎧。 硝子の破片に映る燃え尽きた街並みが、それまで生きていた世界の全て――それまで生きていた時代が、終わりを告げたことを報せる。 ガレキの山に潰れるは、その時代の象徴。 民に愛され、崇...
ある王宮錬金学術師の譫言

ある王宮錬金学術師の譫言 破転

僕の眼が覚めた時。 辺りは静寂に包まれていた。 多種多様に、様々な髪色と背丈の人々が皆祈りを捧げるかのように縮こまり、一瞬たりとも声を上げることなく。 ただ、屠殺を待ちわびる家畜の如く――民は虚ろな目をしばたた...
ある王宮錬金学術師の譫言

ある王宮錬金学術師の譫言 序起

 ことの始まりは、魔王の進軍だった。 嵐の如く、この世の終わりが訪れたかのように王の国が蹂躙されていく。  避難してきた遠くの地方民から、僕の地元が焼かれ崩れていったと聞いた。 母の居た、森の住民たちがたった一体の強大な...
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