gdonzy

禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第二一話 who am アイ 

 最初から、何もなかったかのように、その男は快の前で微笑む。 先程までの、血気迫る――鬼神の如き形相の持ち主と同一人物とは思えぬ表情だった。 「面倒事は片付いた。じゃあ、行くか。その前に腹減ってないか?」  真の名を、グ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第二〇.五話 過去の栄光は過去と共に去≪あ≫れ

 人々行き交っていた、商店街の店たちの屋根を打つ雨。 今や誰も居ない、曇天の下――閉じられ歪んだシャッターに身を置く姿が在った。  ユンガ・テネブリスである。 「うぅ…………」  再生しかけている、下半身を動かし、...
ある王宮錬金学術師の譫言

ある王宮錬金学術師の譫言 序起

 ことの始まりは、魔王の進軍だった。 嵐の如く、この世の終わりが訪れたかのように王の国が蹂躙されていく。  避難してきた遠くの地方民から、僕の地元が焼かれ崩れていったと聞いた。 母の居た、森の住民たちがたった一体の強大な...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第二〇話 欺瞞/友情

「少年、例の男からの話は聞いているな?」  レクスが快に問う。 巨体を跪かせ、快に目線を向けて。 「例の男………? まさか、ソロムとジェネルズを両方殺すって言ってた……?」  快が小声でそっと、レクスに耳打ちすると...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一九話 英雄、帰る鬨

 無残な様を、夕闇に晒す教会に――たたずむ一つの姿が在った。  それは、ガレキの山に見える手を、踏みつぶし憎々し気に歯を軋ませる。 踏みつぶされた手は、骨ごと砕け男の靴底を赤黒く染めていく。 「これが、俺の子孫の末路だと...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一八話 THE RING IS TABOO

 夕暮れ時。 陽の沈みゆく地平線へ向かって、一行は進み続けていた。 ソロムの感じ取った、ジェネルズの魔術の残り香を頼りに。 「ソロム、一体ジェネルズはどこに?」  快が後ろにつき、ソロムに視線を向ける。  ソ...
禁忌×ノ魔王

禁忌の召喚者 第一七.五話 交錯乱闘剣ノ舞

「待て、絶対に逃がさないぞ……………ジェネルズ!!!」 「ユンガ、はやまんじゃねぇ!」 ビルの屋上を飛び越えながら、怪物を追う二人。 戦いの跡地となり崩壊していく街並みを遮り、ユンガが魔術の光弾を放つと、ジェネルズは片腕...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一七話 曇天≪わざわい≫を、晴天≪ちから≫へと。

 青空の下に、満身創痍の戦士たちは跪いていた。 止めようのない血を、黒い道に流し――垂らして。 「おい、快、生きてるよな?」 棕は快の傷ついた体を揺さぶる。 額を真っ赤に染め上げ、隻眼の眼で幼い――死相浮かんだ快の...
ろぐばの日常

リクエスト企画回! ろぐばの日常!

第一話 プエルラ・テネブリス  プエルラ・テネブリス。 その名は、全てを統べる――魔界の大魔王を意味している。 残酷なる運命に、その身を虐たげられながらも、その全てを跳ねのけ、全てを己の糧とした”最強の魔族”。 そ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第一六話 炉心溶融ノ果テ≪メルトダウン・オーバー≫

光の中を突き進み、快は炎に身を焦がし、臆することなく剣を振るう。放ちゆく斬撃は、紅蓮の炎よりも激しく――蒼炎をも焼き尽くす白炎を纏っていた。全力の攻撃は、快の視界に捉えた、ジェネルズの姿を切り刻んでいく。その連撃を前に、ジェネルズは片腕で...
孤独なる魔王

孤独なる魔王for bifore 禁忌の召喚者 (いい夫婦の日特別回)愛成≪アイジョウ≫

「ユンガよ! もうそろそろ番を考えるべきではないか?」城の窓から顔を出した、獅子の頭が言う。駄目ですよ。と言うと、わかり切った様子で頭を窓から下げてしょんぼり。その様子が思い浮かび、とても心痛むので、僕はいつもの言葉を口にする。「懲りずに...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第一五話 生≪あす≫を賭けた戦い

 快はゲームセンターを出て、印章封印札を取り出す。 ゲームセンターを出ると、辺りは夕焼け空に染まっていた。 「ソロム、ユンガさん、大丈夫ですか?」 印章封印札に向かって話しかけるが、相も変わらず反応は無かった。 (...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第一四話 その胸にあるのは

 人で賑わう遊び場たるそこは、少年を捕える牢獄へなさんとしていた。 快は走り、元居た場所へと向かう。 しかし、歩けども駆けようとも、光景が変わる事もなく。 「…………どういう事だ?」 その様はさながら、”柵”へ囚わ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一三話 引き戻されていく、深淵へ。

 一行は、教会を出て北へ二キロ離れていった。 教会から、逃げるかのように。 「あれで、本当に終わったんだろうか」 快は、言葉を零す。 「さぁ、問題はあの銀髪のおにーさんの方じゃない?」 棕が返すと、思い出した...
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魔鎧・魔剣・宝剣(特殊武装)について

魔鎧 魔鎧とは、魔力の込められた鉱石や一般的に流通されおらず”存在していない事にされた”素材によって作られた鎧である。 本来、鎧とは主に外部からの衝撃から装着者を保護する役割を担う防具であるが、魔鎧は秘められた魔力、素...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一二話 終≪シンジツ≫に近づく冒険

 「………棕さんは大丈夫だろうか」 快は、怪しげな白装束集団からの注目を一点に浴びながら――呟いた。 その後、無言で棕の帰りをひたすらに待っていると、不安に駆られている様子の快に更なる追い打ちをかけるかのように、教会全体が揺れ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第???話 誰かが見た戯言

 泡沫の夢を見る。 瞬きと共に消えゆきそうな、そんな望み。 いつからすれ違ったろうか。 誰にも知らぬ内に、滅びを望めば滅びずに。 生へ執着すれば、その執着の意味の全てを無へ還される。 嗚呼、儂の身に意志が無け...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一一話 the blue rose

 突如として目の前に現れた悪魔。 周囲には逆十字型に磔にされた瀕死の怪物達。 床に溜まり、滴るは赤黒い液体と、悪魔が切り落とした二つの首。 シトリーは、爪を舐めてただ棕をじっと見つめる。 その眼は、獲物を見定める獣...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一〇話 怪奇満ち、思惑揃う。

 寛大聖教と呼ばれる、宗教の信者に連れられるままに、一行は歩む。 心地よさげに、雲一つなく照らす青空に、似つかわしくない疑いの感情を――今まさに一行を先導する信者に向けて。 黙って、ただ黙って足を進めていく。 全身に力を...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第九話 怪しきregion  & 求め続けるanswer

 午前九時。 風そよぐ青一色に染められた田んぼの前で、一行は二手に分かれる。 「んじゃ、そういう訳だからここからは別行動だ」 ソロムが快に告げると、快は頷いた。 「解った」 それを見て、ソロムは隣に立つユンガ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第八.五話ー黒幕ー

 「魔界へ帰れ、最終警告だ」 夕暮れの斜陽に隠れる影の様に、ひれ伏す名も無き悪魔属へ爪を向ける者が居た。 彼の名は、ユンガ・テネブリス。 攫われた妻を探す道中、出会った暴徒と化した同胞の説得を試みている最中であった。 ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第八話 開幕のprelude 鳴らすは今宵のpurpose

 何の変哲もない、民家にあがり、快とその仲間たちはちゃぶ台を挟んで会合する。 それは、真夜中のことであった。 重々し気に話すソロムの表情には、事の重大さがおもむろに現れていた。 「天使と悪魔…………両方の力を持ってるって...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第七話 何故 i be fighter? 歩みゆく next stages

(ここは、どこだ…………?) 目を覚ました先には、非現実的な風景が広がっていた。 快の前に広がる、荒廃した風景。 殺伐とした景色に敷かれるは、枯れ果てた大地。 その上には曇天が広がり、陽の温もりは一切なかった。 ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第六話 後編 will not move anymore

 瞬間の衝撃。 刹那の激痛。  それは、快の初めて受けた、不意打ちによる傷。 人差し指ごと指輪を落とし、快は唖然とする。 「え…………?」 快が左手を見ると、人差し指の在った形跡の残る断面が見えた。 「...
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魔術とは

魔術とは、体内に秘められた魔力を用い、想像したものを具現化させ起こす奇跡である。 扱える魔術はその身の魂に宿された属性、魔力量によって異なり、また訓練によって宿された属性以外の属性魔術を後天的に使う事も出来る。 また、...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第六話 前編 狙われたkid is…

 天護町、夜の街。 破壊の跡が残され、歩道から道路一帯にかけては粉砕されたテレビモニターの破片と、ガラス片が散乱していた。 かつては、人の賑わい、屋台が点々と開かれた華の都となっていたそこは、封鎖され屋台の代わりにパトカーが停...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第五話 真の敵はcomrades? 否定のword

 ユンガに送ってもらい魔界から帰り、快はホテルの入り口に立っていた。 (残り二日か) 快は手元の二枚のカードに目を落とす。 (確か、八岐大蛇とユンガさんが入ってるんだったか………いや、待てよ?) 快はカードをポケッ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第四.五話 敵ー the true enemyー

 「さて、と。あいつはうまくやってるかな」 カウンター席に座り、黒ビールジョッキ片手に呟くソロム。 そこはドイツ、バイエルン州の老舗酒場。 店内の客はほぼ全員、壮年から老人とみられる男性である。 その中で、ソロムは...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第四話 変革を起こすdream 増える奇跡のcomrades

 ホテルの窓から差し込む、朝日に頬を撫でられ、快は目覚める。 「んん…………」 目を開けずとも、病院のベッドとは違う柔らかな感触を下にしている事を認識した。 その感覚が、昨夜の出来事を夢幻と捉えさせなかった。 身に...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第三話 深まっていくmystery 解決はimpossible

 古びた館で、選択を迫られる快。 快の今までの疑問に対する、一部一部の解答をアイネスは答えた。 だが、それでも快はまだ発言を渋っていた。 与えられた情報への確証が掴めない以上、返答はできずにいた。 「どうしたの」 ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第二話 出会ってしまったdestiny 引き込まれてくabyss

 怪人の魔の手から逃げ延びた快は、足を休まていた。 やってきた先は、公園から西へ四km離れた商店街。 動悸の治まらない胸を抑えつつ、快は呼吸をその場で整える。 (あんな奴を相手にするっていうのか………) 恐ろしく伸...
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異種族の総合脅威度・脅威度について

総合脅威度とは  身体能力や保有する魔力などを総合し、人類・魔族・天使・神にとっての脅威度、危険度を表すものである。 これに関する情報伝達の際には、総合脅威度はアルファベットと数字で表記され伝えられる。 またアルファベッ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一話 始まってしまったstory 開くはtaboo

 「…………こんなことをした、こんな運命を背負わせた奴の顔を見てやろう」 病室で、少年は手に持った銀のカードを見つめ一人呟く。 少年の名は、氷空 快。 生まれついて病を患い――その命わずかとなっている身である。 そ...
禁忌の召喚者

ー禁忌の召喚者ー 第零話 Who are you ?

誰もが寝静まった、都内の病室。 白いベッドで、ただ死を待つばかりの少年が一人点滴を受け、天井を見ていた。 少年の余命、それは夏の終わりと共に告げられるという。 医者の宣告では、二か月。 生まれつきの原因不明の病を患...
孤独なる魔王

孤独なる魔王 Beelzebub編  大地が枯れ 天は曇る(true&false)

「バアルゼブル! バアルゼブル!」 バアルゼブルは霞む目を、聞き馴染みある声に答え、無理矢理開ける。 「うぅ…………あ、アニー…………」 目の前で、心配そうにアナトはバアルゼブルの頭を撫で前髪を流す。 「何があった...
孤独なる魔王

孤独なる魔王 Beelzebub編  豊穣の王は地上にて

 魔界の中でも、最も謎めいた魔王の器の、悪魔属。 ふらりと食べ物を片手に現れては、目に映る者を小馬鹿にしたような笑みをたたえる、緑髪の悪魔の少年。 彼は、如何にして魔界へ堕ち、蠅の王となったのか。 これは、ある一族の末裔...
孤独なる魔王

孤独なる魔王 Lucifer編 第三部 輝きの潰えた日

 冥界にて、謀略を巡らせる”偽りの王”。 驕れるままに只、サタナエルは岩山の玉座で己に付き従う者達の軍を編成する。 その隣に居るのは、天界の至高にして唯一無二の偉大なる天使の長。 ルシファーである。 ルシファーは、...
孤独なる魔王

孤独なる魔王 Lucifer編 第二部 堕ちる明星、嘆く空

 不服そうに、互いから目を背ける階級の高い天使が二人。 天界の酒場で、互いに離れた席で酒を飲むルシファーとサタナエル。 ルシファーは、酒場のテーブル席でミカエルの隣に座り談笑しつつ酒を交わしていた。 「るしふぁーさまぁ、...
孤独なる魔王

孤独なる魔王 Lucifer編 明星は高く在り

 天界。 そこは、清き生命達の楽園。 聖なる場所。 天使たちが歌い、純白の、雲の様な美しい大地には花が咲き誇りそこに生きる生き物たちは天使たちの喜びの歌に旋律を奏でる。 「聞くのだ、我が愛すべき子供たちよ」 ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王ー最終話ー交響ー

 戦を終わらせ、プエルラは各種族から恐れられた。 だが、それと同時に希望の象徴となっていた。 敗北宣言の後の、反抗する本気の魔王を含む全員を前に傷一つつけずに力でねじ伏せたからである。 レクスを超える脅威として。 ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王ー二一話ー終末ー

 魔王達の進軍により、人類の楽園たる大国は、地獄へと変わっていく。 三大都市の内の、最後の一つ__ブロード王国最北端に位置する通称【魔術の園】が、大悪魔によって蹂躙されていた。 振る雪の、美しい町。 魔術の園に暮らす人々...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王ー第二〇話ー魔王ー

 魔界は、種族の境無くあらゆる魔族で賑わっていた。  悪魔属魔王城の城下町の大広間は、魔界の中でも特に魔族が集まっていた。 そこには__真ん中に巨大な魔法陣が展開されており注目を浴びていた。 その魔法陣を通し、魔王達は人...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第一九.五話ー笑顔ー

澄み渡る青空に交じる、草木と大地の匂い。周りを見渡せば、柵の先に居る牛や馬、家畜とそれの世話をする頭にバンダナを巻いた人達が見える。のどかで、どこか狭くもぬくもりに満ちた穏やかな農村。そんな村に、人一倍力自慢の子供が居た。赤髪で、乱暴者な...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第一九話ー転生ー

 叢雲に閉ざされた空。 周囲から漂うは雨の湿った匂いに交じる仄かな血の匂い。 そこは、吸血鬼属の魔王が領域。 魔界の一端、ドラキュラ城である。 城の中の二階の部屋には、真っ赤なカーペットの上に置かれた豪華な造形の椅...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王一八話ー再起ー

吸血鬼属は、人間への擬態に優れた一族である。 故に、かつての人間との戦争では財力などの水面下の戦力を奪うことによって魔王に貢献していた。 「愛おしくも哀しき同胞達よ__反撃の刻だ」 逢魔が時を示す空を、黒煙の如き軍勢で覆...
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魔族について

魔族。それは人知を超えた力を持つ魔界に存在する生物の総称である。その多くは、地上に棲む全生物を凌駕する膨大な魔力と身体能力を保有しており、不老不死で、最底辺悪魔属であるインプですらも岩を砕くほどの力を持っている。また、魔族にはそれぞれ様々...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王一七.五話ー勇者ー

 名もなき村で育ったとは思われぬであろう天を穿つ程の得体。 雷を宿したが如く、鋭い眼。 鮮血を浴び続け染められたとさえ思わせる、深紅に燃える長き毛髪。 怪力無双にして、歴戦不敗。 彼の者に敵は無し。 魔族を組...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王一七話ー再臨ー

 それは、衝撃だった。 幼き少女の放った、情動だけを煮詰め、己の魔術と化して顕現させた、召喚魔法というにはあまりにも特異なもの。 その姿は、まさしく彼の者を彷彿とさせた。 屍の山を築き上げ、刃の雨を降り注がせ蹂躙していく...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第一六話ー再生ー

 気が触れそうな程の精神への重圧と、全身を切り裂くような激痛に悶えながら、プエルラは意識を保つ。 周囲の集まっている魔族は、プエルラの様子に驚いているようだった。 「がああああああああ!!!!」 プエルラの体に刻まれたあ...
小説

魔族の階級、爵位

魔族の階級、爵位は基本”総合脅威度”と魔界への生息期間によって決められる。 上位であればあるほどに魔王選挙戦で戦闘力的にも、名声的にも他の魔族からの支持を集めやすく、優位に立てる。 また、昇格される条件として主に二つあ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第15話ー再会ー

 荒れ狂う魔界の海に浮かぶ、絶海の孤島。 そこは、見渡す限りが岩場で覆われており、ところどころに亀裂が入っている。 生き物が生息している様子もなく、ぽつりとその場に取り残されたようにプエルラは立ち尽くしていた。 奥、西へ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第十四話ー捜索ー

 魔界の海を泳ぎ、プエルラはわずかな力を振り絞り島へと向かった。 無我夢中で体を動かし、やがて目の前に浅瀬が現れ、小さな手が浮力から離れた瞬間_ プエルラは海の藻屑と共に、力なく波に晒され全身を脱力させた。 しばらく倒れ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王13.5話ー人間ー

 活気と歓声に溢れた、王都にて男は人々の祝福を受ける。 人々は自国の英雄の帰還を、自身らの王のその勇姿を一目見ようと、男の側を囲うように集まっていく。 ここは、ブロード王国。 世界でも有数の、広大な領土を保有する大国家で...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第13話ー絶望ー

 魔界の海。 そこはあらゆる水棲の魔族が生息し、陸の魔族とは全く別の文化、全く違う言語を使う種族の集う広大な海。 魚人にタコ型の魔族、マーメイド……そしてそれらの食物連鎖の頂点に君臨する巨大なイカの下半身を持ち、サメの様にとが...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第12話ー熾烈ー

何者をも通さぬ、狭く暗い洞窟に少女はたたずむ。 ピチョン、ピチョンと水の滴る海底洞窟にただ独り。 「はあ…っ!! 」 全身に力を籠め、魔力を回す。 目の前ですべてを奪っていった憎き男の顔を思い浮かべ、目の前に投影さ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第11話ー覚醒ー

何も見えない暗闇に、少女は佇む。 その目に映るのは、虚無。 「ここは、どこ? 」 歩みを進めども、不思議に思う程に疲れずに、不気味な程に、無音で殺風景な風景が拡がっているだけだった。 「……お爺様? ……お父様? ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第10話ー暗闇ー

魔界の空に響き渡る翼のはためく音。 それを鳴らすは、少年を乗せた魔獣の王。 向かうは魔界病院。 空中を羽ばたかせながら背に乗るユンガの方を向いた。 「………しかし、良いのか」 「……何が、です?」 「そ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第09話ー傷痕ー

ーーーーーーーーーーーーー  目が覚めると、そこは真っ白な天井。あの後、自分の身に何が起こった? そう、自分は確かに、あの人間との戦いの後、強制的にハエの大群に包まれそこから気を失ったのだ。 ハエの大群…思い当たる節は一...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第08話ー死別ー

 男の怒号、館を眩く照らす閃光、大地を轟かす衝撃、 放たれる光線、弾を相殺させ生じる破裂音。 それらを起こしているのは一人の男と老人。 レクスは目の前に迫る塊を前にあらゆる手を付くし、勝負は今にも雌雄を決さんとしていた。 ...
徒然なるままに

ー前置きー

まだ思い出として記憶がはっきりしてるうちに今まで生きてきた半生を描いていこうかなと思ってます 遠い記憶を頼りに描いていきますので書いているうちに突然思い出したことを載せたり つじつまが合わなかったりすることも多々あるともいます...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第07話ー戦場ー

「じいじ、本読んで~!」  無邪気に、ソファーの後ろにある赤い表紙の本を抜きそれを目の前に差し出す孫娘。  それは、お前にはまだ早い魔術書だよ。 儂わしはそっと本を孫の小さな手から元の場所へ戻し、代わりに昔読み古した簡単...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第06話ー破壊ー

勝負は、一瞬だった。獣の王であるが故に、牙と爪による攻撃しか知らぬ。それが、敗因だった。下腹部に貫通した、手刀。「………ウガアッ!?」腕を動かし、尻尾を動かし悶えその場で仕留めようと跑く。 しかし、眩い光の力を身体に放出させたレクス...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第05話ー激闘ー

あれから、どのくらいの時間が経ったろうか。 三匹の悪魔を相手に、短剣と魔術一つで迎え撃ち致命傷を与える男と、汗を流し、息を切らし、戦う悪魔達。 熾烈を極めた激闘は、悪魔達の余裕のない挙動と、男の汗を流しながら攻撃を受け流してい...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第04話ー地獄ー

「ダリャァ!!」 金属同士が擦れ、火花が散る音が、塔の中に響く。 しかしそこで行われているのは武器による戦闘では無く、獣同士の争いのような、素手による乱闘だった。 悪魔の爪を、男は鎧の籠手でいなし拳を顔面に当てる。 ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第三話ー蹂躙ー

「ここか、おぞましき怪物どもの巣窟は」2mはゆうに越える背丈の男は、魔界の空を裂き、ふわりと大地に足を降ろした。絢爛豪華な装飾がされていた痕跡の残る赤黒く汚れた鎧を、異形の怪物の骨で彩る深紅の髪をした、鋭い目付きの男。 彼の名は『レ...
孤独なる魔王

ー孤独なる魔王第二話ー追憶ー

「お父さんっ、今日も伝統。頑張って」 「ああ、我輩も由緒正しきテネブリス家の当主だからな」 古びた城の中で、少女は五mはあろうかという大男に微笑みかける。 彼の名前はダグラス・テネブリス。魔界の歴史で二代目に魔王の座につ...
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