超古代に秘められた存在は往々、常に強大にして雄大でなくてはならない。
完全なる超越者であり、傲り繁栄する天罰の権化でなければならない。
解明しつくされた世の理を、不条理なる神秘で答える者。
現代人類の科学技術や、書物によって受け継がれてきた古き叡智を容易く覆し、己の存在そのものによってそれらを蹂躙する者。
それが――超古代に秘められた存在の正体である。
人は、それを人ならざるものとして。
獣は、それを獣とさえ認めず。
羽虫はおろか、風によって何億と生き永らえてきた植物達もその存在に組みふされ、ひれ伏す。
人はそれを全て――神と呼ぶ。
大海より蘇った怪獣王、銀河系より飛来した者共の巨躯は、戦車砲の弾丸を跳ね返し。
地上の万物を、理不尽なまでに破壊する。
人類は、強大な超越者に対する神性と羨望、潜在的な崇拝を見出しているのだ。
故に、如何なる悪意に満ちた高度かつ、効率的な破壊行為よりも、純粋な衝動に駆られた異形の者の、破壊行為の方が恐ろしいのである。
そして恐ろしくも、どこまでもその力の根源が未知的である。
だからこそ神秘といえる。
皆、諸人が如何に、その神秘と神性に対して無知で浅はかかを白示す存在を、求めている。
然らば。と生み出され――否、発見されていく存在達は、理解不能なまでに強力である。
秘められ語られていた幻想を、秘められていた不条理な現実としていく神秘、常識という共通認識では説明のつかぬ、正体不明にして強力無比な未知の生物。
なべてそれらは、秘密的ロマン。
刺激や知恵を求める者程、神々や異形の者に取りつかれ、それらに対しての心酔を浮かべて。
自身がそれらと一体になった様を憧憬に見るのも、その物語を紡ぐのも、必然なのだ。
それは、人類賛美と終末論の垣根を超えた、現存するあらゆる世界神話からも言えるだろう。
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