2022-10

小説

第二章 第十三話 生の意味

 走り抜けた先。  そこは、大都会。  港町を必死に駆け抜け、二人はやってきた。  遠くの海すら覆い囲う程の摩天楼群の、真っ只中へと。  もはや、最初から何事もなかったかのように日常の風景を照らし出していた。 ...
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幕間 破戒の頽廃教会

『怖かった』 『魔界の全てが蹂躙されていくあの光景が。  見知った連中の体が血しぶきをあげ、遺言に聞こえてくるのは叫び声。  止せばいいのにとでも言わんばかりの鮮血に濡れた顔は、憎らしくも歪むことは無い。  ただ冷...
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第二章 第十二話 結界 千回 戦闘 閃光

 重なった声は、快の声。  もう一つは、先程、戦闘が開始される前に一瞬快にとって聞き覚えのある声だった。  快が声の方角を見ると、そこにいたのは、白髪の青年。  教会の壁際に体をもたれかけ、白髪の青年は、口許から血を流し...
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第二章 第十一話 主よ

  声が響く。  凛として、低く。  教会の入り口、真上から。  快とグリードが教会の屋根を見上げると、そこには少女の姿があった。  少女は修道服に身を包み、屋根から下の風景全てを見下ろす。  ――大降りの短...
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第二章 第十話 怪 解 戒 廻 

 駆けていった先の、港町。  そこは、煌びやかに太陽に照らされた海の輝く、漁港であった。  漁港近くには、漁師と思しき鉢巻を巻いた男が船波止場近く、魚一杯になった投網を船から出している。  快が右を向けば、石作りの住宅が...
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