2021-12

禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第二二話 Gun”s・Peace

 「車の中に入れ」  銃を構えた武装集団の隊員が、一行に向かって腕を振る。 快が武装集団の乗っていた車に目をやると、車の扉は開かれた。 車内は、バン型の車両というに相応しく――広々としており、座席はもはやソファーのように...
ある王宮錬金学術師の譫言

ある王宮錬金学術師の譫言 破転

僕の眼が覚めた時。 辺りは静寂に包まれていた。 多種多様に、様々な髪色と背丈の人々が皆祈りを捧げるかのように縮こまり、一瞬たりとも声を上げることなく。 ただ、屠殺を待ちわびる家畜の如く――民は虚ろな目をしばたた...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第二一話 who am アイ 

 最初から、何もなかったかのように、その男は快の前で微笑む。 先程までの、血気迫る――鬼神の如き形相の持ち主と同一人物とは思えぬ表情だった。 「面倒事は片付いた。じゃあ、行くか。その前に腹減ってないか?」  真の名を、グ...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者第二〇.五話 過去の栄光は過去と共に去≪あ≫れ

 人々行き交っていた、商店街の店たちの屋根を打つ雨。 今や誰も居ない、曇天の下――閉じられ歪んだシャッターに身を置く姿が在った。  ユンガ・テネブリスである。 「うぅ…………」  再生しかけている、下半身を動かし、...
ある王宮錬金学術師の譫言

ある王宮錬金学術師の譫言 序起

 ことの始まりは、魔王の進軍だった。 嵐の如く、この世の終わりが訪れたかのように王の国が蹂躙されていく。  避難してきた遠くの地方民から、僕の地元が焼かれ崩れていったと聞いた。 母の居た、森の住民たちがたった一体の強大な...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第二〇話 欺瞞/友情

「少年、例の男からの話は聞いているな?」  レクスが快に問う。 巨体を跪かせ、快に目線を向けて。 「例の男………? まさか、ソロムとジェネルズを両方殺すって言ってた……?」  快が小声でそっと、レクスに耳打ちすると...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一九話 英雄、帰る鬨

 無残な様を、夕闇に晒す教会に――たたずむ一つの姿が在った。  それは、ガレキの山に見える手を、踏みつぶし憎々し気に歯を軋ませる。 踏みつぶされた手は、骨ごと砕け男の靴底を赤黒く染めていく。 「これが、俺の子孫の末路だと...
禁忌の召喚者

禁忌の召喚者 第一八話 THE RING IS TABOO

 夕暮れ時。 陽の沈みゆく地平線へ向かって、一行は進み続けていた。 ソロムの感じ取った、ジェネルズの魔術の残り香を頼りに。 「ソロム、一体ジェネルズはどこに?」  快が後ろにつき、ソロムに視線を向ける。  ソ...
禁忌×ノ魔王

禁忌の召喚者 第一七.五話 交錯乱闘剣ノ舞

「待て、絶対に逃がさないぞ……………ジェネルズ!!!」 「ユンガ、はやまんじゃねぇ!」 ビルの屋上を飛び越えながら、怪物を追う二人。 戦いの跡地となり崩壊していく街並みを遮り、ユンガが魔術の光弾を放つと、ジェネルズは片腕...
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