~禁忌叙情詩集【人外の瞳】~

【吸血鬼】

 お前は何を得た?
 この奔走、まるで海の果ての大陸を目指し、裸のままで何度も何度も沈みかけては泳ぐように。
 流れていく水に、抗えもしないのに。

 お前は何を見た?
 濁り切った視界に映る写像、それが幻想か、現実かもわからずに。
 霧の向こうさえ、見えた試しもないのに。

 お前は、何を目指した?
 幾多の甘き夢、開いては閉じる瞼の上を、侵されては。
 月夜に就いた眠りの数さえ、覚えちゃいないのに。  

 痛みきった四肢はまだ動くか?
 見たもの、得たもの、目指すもの、その全てを拾い、啜る。
 その腹は痛む、次を欲しているのに

 人を求めては、抱き止め、微笑と共に内側へと迎え入れる。
 またすぐに枯れてしまうと知っているのに。

 きっとこの果ては無い。

 この世にクイは無い。
 輝く太陽を仰ぎ見て、胸打たれるその日までは。

【ディープ・ワン】

 きっと私は求めていた。
 安寧の地へと、堕ちて行くのを。
 冷たさと、暗がりは、もはや友。

 きっと友も、そこに居るから。

【黒猫】

 喪った眼窩は戻らない。
 あなたとの思い出を映した、水晶だったのに。

 失った物は返らない。
 何もかも、燃えてしまえばいい。
 
 最後はあなたが、私のせいでおかしくなってしまえば良い。
 今あなたは、私とよく似た猫を愛でる。

 私ももう帰ってはこれない。
 次会う時は、元の綺麗な私じゃないかもね。
 あなたの綺麗な私じゃないからね。

【旧現代のプロメテウス】

 作ってしまった過去。
 それはいつも私の背後に歩み寄る。
 
 過ちは、悪事を伴って。
 驕りは、悪魔を引き連れて。

 くすんでしまった今。
 俺は言う他愛もない愛に逢いに行く。

 無知は、悪事を伴って。
 怒りは、怪物を引き連れて。

 神は、自由の炎をもたらした。
 
 無垢は、喜びを伴って。
 純心は、平等を引き連れる。

 炎は平等を呑み込んだ。
 神こそ、その腹を、永遠に啄まれなければ。

 不定期連載中

【塵芥のジャガーノートは強欲にて】https://novelpia.jp/novel/258

あらすじ

「――ただ、俺は俺を知りたいだけなんだ」

古来からの知恵――魔術が衰退を見せ、魔力を必要としない科学が台頭し、天界や冥界、魔界の存在が伝説へと消え始めたデモニルス歴1911年、記憶を無くした“魔人”が居た。
長身痩躯、極めて人間に似ていながら、人ならざる身が思い出した名は、“グリード・タタルカ”。

その身に宿った強大すぎる力、不死身にも等しい生命力、老練の魔術師よりも膨大な魔力。
彼の生まれた意味とは何か。
あらゆる国々が何故彼を恐れるのか。
自分を生み出した者、愛する者はいずこに。
これは、とある人造魔人の旅の記憶。
正義とは何か、本当の自分とは何か。使命とは。
長き苦境と少ない楽境の中、人外や人々と出会い、時に戦い、己の存在の意義を問う、葛藤の物語――。

【明けの明星と呼ばれた異星人は地球への帰還を目指すようです】https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/2154332/

あらすじ

 196×年まで、地球は異星人に狙われ続けていた。
 しかし、侵略から守り続けられていたのは防衛組織と、とある異星人の協力によるものだった。
 組織と手を取り合い、地球を守ってきたたった一人の異星人を、地球人達は聖書に因み、“明けの明星”――ルキフェル・ゼクスと呼んだ。
 
 時が経ち、2023年。
 ルキフェル・ゼクスは悪の異星人からの一発の凶弾に倒れた筈だったが、目を覚ましたのは異世界だった。
 強さが数値として見え、異様な怪物達が跋扈し、魔法を使う、文明が遅れているようで進んでいる未知の世界から、彼は地球への帰還を目指す。
 
 異世界転移×巨大SF特撮ヒーローをイメージしたフュージョン作品です。
 これからあなたの意識は、あなたの目を離れてこの不思議な世界に入って行くのです。
 ご照覧ください、我が作品。

note、はじめました。

よろしければ、ぜひ。

ここでしか見られない話や呟きも?

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それではまたのいつかに。

皆様に幸あれ。

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