禁忌神話伝とは

 禁忌神話伝とは

 禁忌の力を得てしまった、あるいは内包していたものが引き出されてしまった、怪物達の孤独と悲哀、その行く末を描く物語である。
 
 何故語られないのか
 その理由は、竜教の存在にある。
 というのも、竜教教徒にこれらの怪物に逢い、口伝でその存在と、それらが語った話を伝える者が居た。
 怪物達の存在は、竜教の聖典(預言の卵と呼ばれる書)にある化け物の正体に近い特徴を持っていた。
 21体の、魔族とも、古き神々ともつかない怪物達。
 それらは、禁忌と呼ばれ、世界を滅ぼすと信じられている。
 最前世界(デモニルス歴と呼ばれる時代)の共通宗教となっていた竜教は、禁忌の実在を恐れ、竜教教徒に口封じを計った。
 しかし、時すでに遅く、怪物達の物語は大陸の垣根を通り越し、既に伝わり、竜教をも超えた信仰を得ていた。
  
 そして、異端審問が過激化した。
  
 果てに見かねた怪物の一体が竜教の者達を滅ぼしていった。
 皮肉にも、竜教の預言は、竜教の滅亡で以て成ったのである。
 一方で、竜教の者達が滅んでいったのは、架空の怪物による物ではなく、宗教戦争――――王侯貴族の私刑と、権力闘争が重なった事による結果だとも言われている。
 いずれにせよ、話は語られずとも、生命の魂の記憶は紡がれるもの。
 魂に刻まれたのは禁忌への恐怖と畏怖。
 
 名を変え、世界が変われども、その心理には抽象的な像として現れ続け、確実に彼らは存在する。
 人外への恐怖。
 力の渇望。
 そして、力を持ってしまった悲哀、罪。
 それらがある限り、彼らは確実に“居る”。
 
 ゴシックの片鱗を感じた時、メシアの聖なる教会を覗くとき。
 仏の慈悲を見た時、炎の聖なる力を見た時。
 荘大なるヘラス、荘厳の北欧。
 砂漠に沈んだ、かの英知を知りえる時。
 それらにこそ、禁忌は在り、その力を思い出すのだ。
 

 
 これまでの時代と世界線について

 世界とは、可能性の数だけ細やかに変容していく。
 例えるならば、過去という幹を基点とし、無限に枝分かれしていく木である。
 それに終焉という木の葉が付くかは、世界線という枝にも分かれる。
 また、共通の過去要素を持って分岐した世界線において、同じ要素、あるいは概念が存在するかも、どれほどあるのかも不確実である。 
 観測の方法は、未来視の魔術によってしても、せいぜい今の世界線の時点での、一番こうなる可能性が高い世界線を覗き、行動するのが関の山なのだ。
 
 現時点での世界線では、観測上の原初前時代から、既に世界は四度に渡って滅びている。
 
 本項における“世界”とは、宇宙を超えた先にある、四つの異世界を内包したものとする。
 
 原初最前時代 デモニルス歴~20世紀、禁忌の存在によって滅亡。
 第二時代 グライディス歴~23世紀、進みすぎた文明と、その干渉により壊滅。
 第三時代 アトランティス歴~19世紀、未曾有の四世界同時大災害により、滅亡
 第四時代 ハイボリア歴~?世紀、不明、諸説あり。
 第五時代 紀元前~紀元後 現時点で破滅の兆候無し(地上界は流行病と争いにより混乱が起きているが)
 
 

コメント

タイトルとURLをコピーしました