禁忌の召喚者 第三話 深まっていくmystery 解決はimpossible

 古びた館で、選択を迫られる快。

快の今までの疑問に対する、一部一部の解答をアイネスは答えた。

だが、それでも快はまだ発言を渋っていた。

与えられた情報への確証が掴めない以上、返答はできずにいた。

「どうしたの」

アイネスはただ、首を傾げ答えを待っている。

その隣には、鋭利な右手を爛々と輝かせる悪魔。

「ごめん、もう少し考えさせてくれないか。悪いけど、なんにも状況が今は解ってないから………」

快がやっと返したのは、曖昧な一言だった。

アイネスはただ、黙って片腕を上げて返した。

「じゃあ、三日間の間に考えておいて」

上げた片腕で指を鳴らすと、段々と快の周囲は霧に包まれる。

霧は白く深い。

そして視界は、完全に霧によって覆われた。

「!?」

快が瞬きをすると、再び視界はゆっくりと霧の壁から解放されていった。

霧の隙間からは、先ほどまでいた商店街が見える。

完全に霧が晴れると、商店街の風景が快の目に映る。

見渡すと、快が最初に来た時よりも人が少なくなっていた。

ふと上を見上げると、空は夕暮れ時を示していた。

(こんな時間まで僕はあそこで喋っていたのか…………)

快は急いで病院へ向かった。

走り、途中こけそうになりながらも元居た病院へ。

快が病院へ到着するころには、辺りは既に真っ暗になっていた。

看護師の面々や、担当医にどう言い訳したものか、などと考えを巡らせながら病院の玄関の扉を開けようとした瞬間。

「よう、快。もうここにゃ来ない方が良いぜ」

玄関の扉の隣の壁に寄りかかった―――ソロムが声をかけた。

「ソロムさん、どういうことですか」

ソロムの方へ快が向くと、ソロムは目を瞑りながら言った。

「あぁ、ちょっと解ったことがあったんで直接伝えに来たんだが………とにかく、今は病院へ入らない方が良い」

ソロムの忠告を無視し、快は病院の扉を開け、靴を履き替えた。

中は暗く、蛍光灯の明かりすら点いていなかった。

そしてどこからか、聞きなれない何かが軋む音と水音が廊下中に響いていた。

そういった音が廊下を駆け巡っているが、足音の類や話し声は聞こえない。

快は、不自然に思いつつも玄関の左を曲がり、エレベーターの前へ行った。

前へ向かうと、快はすぐエレベーターの上ボタンを押した。

しかし、光が灯っている筈のボタンは点滅を繰り返していた。

しばらく待っていると、エレベーターの扉越しに何かが切れる音が聞こえくる。

(? 停電かな?)

そう思っていた刹那、エレベーターは、扉越しに凄まじい衝撃を放った。

床を震撼させ、快はその場で足元から崩れる。

ピンポンという軽快な到着を報せる音が鳴ると、開かれた扉の向こうには―――――。

潰れた車いすが、赤茶色の物体を垂らした肉塊を乗せていた。

全体はひしゃげ、肉塊からは腐敗臭と糞便の匂いが漂っている。

そして、エレベーターの壁は内側から”何か”が暴れたようにくぼみ、赤黒い肉片が飛び散っていた・

快はその悍ましい光景に、嗚咽を出す。

快が目を凝らしてみると、肉塊の中に埋もれるようにピンク色のナース服が覗かせていた。

「うぶっ…………おぶええっ…………」

「あーあ、言わんこっちゃない。おいおい、大丈夫か?」

快の背後で、ソロムは快の背中を擦る。

「俺が到着した時には、病院の中はこんな状態だった。………さて、問題はどこの魔族の仕業なんだか」

冷静に、ソロムは語った。

ひとしきり吐き、快はソロムを向く。

「………なんで魔族の仕業だとわかるんですか………」

「ん? 簡単。 人間をあまりよく思わない連中が居るからだよ。まぁ、魔界の情勢はよくわかんねぇけど」

ソロムはさも、当たり前の日常茶飯事かのように言っていた。

ソロムの声に、快はアイネスの言っていた言葉を想起する。

「………もしや、この異変の元凶って貴方なんじゃない……でしょうね!?」

快は立ちあがり、指輪を向ける。

すると、指輪から煙が上がった。

「待て待て、冷静になれ。だったとしたらなんでこんなマッチポンプ染みた事やらなきゃならないんだ」

「僕らを、食べる為だろ………!?」

指輪の先は、ソロムを向き続ける。

すると、指輪から絶叫が鳴り響いた。

その絶叫は、様々な動物の恐れおののく声を織り交ぜ、甲高くし元の生物達の声がなんなのかすら認識できない叫びだった。

「ッ!?」

叫びの元々の生物達が、全力の本能で警鐘を鳴らすかのように、鼓膜に打撃を与える。

「やめろ、これ以上向け続けると鼓膜ごと脳みそがイカれるぜ」

快の目に映るソロムの姿はぼやけており、もはや色だけで辛うじて視認している状態だった。

時間にして約三分、絶叫に耐え続け指輪は”答え”を出した。

「……………なんだ、これ…………?」

絶叫が終わり、表示されたのは、見た事の無い”文字”だった。

「物理 混沌ノ主Master・of・chaos 肉体 D 知識 B三 知恵 A 瞬発力 混沌ノ主 魔力 混沌ノ主Master・of・chaos 再生力 B 総合脅威度 混沌ノ主Master・of・chaos ?」

「おお、あれだけの絶叫に耐えるなんて”素質”あるぜあんた」

ソロムは、拍手で快に近づく。

「………答えてください、一体貴方は何者なんです………」

質問した瞬間、病院の外から何らかの生き物の鳴き声が轟いた。

「デカブツが来たな…………その前に」

ソロムは快を片手で掴み、玄関の扉を突き破って外へ出た。

「何するんですか………そろそろ食べ時だっていうことですか」

卑屈に返す快に、ソロムは首を横に振った。

「いんや、お前は俺の事疑ってるみたいだから俺の”普段の仕事現場”を見せておこうかと思ってな」

それだけ言って、ソロムは軽々と快を背中に回しておぶらせた。

「しっかり掴まってろ」

ソロムがそう言うと、景色は一瞬で一変した。

病院の外の玄関前に居たはずが、どこかのビルの屋上に着いていたのだ。

「大体この辺かな…………あ、居た居た」

ソロムが左を向くと、そこには信じられないものが在った。

八つの首を持つ、ビルよりも大きな巨体の大蛇が首の一本一本をビルに巻き付かせていたのだ。

それは、紛れもなく特撮映画やアニメなどのフィクションではなく―――現実の生き物として町を蹂躙せんとしていた。

「あ……………あああ……………」

「んじゃ、ご挨拶といくかな」

ソロムが左手を軽く握ると、周囲の空間が一瞬歪み、快にはまるで時が止まったかの様に周囲の光景が遅く見えていた。

そして、左手はボールを投げるような動きをするとどす黒い弾丸が放たれる。

しかし、快の目には左手が一瞬動いたかすら認識できずにいた。

弾丸は、八つ首の大蛇に命中し、当てられた背中に巨大な風穴が空いていた。

「グアアアアアアッ!?」

壮絶な叫びをあげ、大蛇は全ての首を上へ向かせた。

「え………何をしたんですか、ソロムさん…………………」

突然、何もすることなく背中に穴のあいた大蛇を見て快はソロムへ顔を合わせる。

「ん? 軽いけん制だよ」

何事もないように返し、ソロムはビルの屋上から屋上へと跳躍し、怯んだ大蛇に近づいていく。

大蛇の目の前のビルに着いた所で、ソロムは大蛇に語りかけた。

「おい、ここはあくまでも地上界だぞ。その巨体、その魔力………さぞかし高位の魔族と見受けるが、違うか?…………魔王の器ダーク・八岐大蛇」

八岐大蛇。

それは、快ですら名を知る神話の魔物の名だった。

かつて出雲の國に現れ、魔神として君臨し娘を喰らっていた怪物。

頭上は村雲が立ち込めるほどに巨大。

そして――八つ股の尾、八つ股の首は数多の災いを呼び寄せ、全てを砕くほどに強大。

目の前に姿を現していたのは、快の浅い情報にも刻まれた神話の魔物そのものであった。

八岐大蛇は、全ての首をソロムに向け、一六個の瞳で取り囲んだ。

「キシィ…………貴様、何者だ…………………」

舌を出しては引っ込め、鬼灯の様な眼で睨む八岐大蛇。

「魔王陛下殿、質問を先にしたのはこちらだぞ」

普段の飄々とした態度とは打って変わり、低い声で八岐大蛇に近づく。

「僕の事も考えてくださいよ………食べられてしまいますって!」

快の必死の訴えを、ソロムは無視していよいよ鉄の柵を片手でこんにゃくの様に軽く捻じ曲げ、八岐大蛇の口許に歩み寄った。

「調子に乗るなァ!!!」

全方向を囲んだ八岐大蛇の頭部は、ソロムの体へ食らいつこうとした。

快は、その様を見て目を瞑り――死を覚悟した。

が、再び目を開けると正面に居た八岐大蛇の真ん中に、巨大な穴が空いていた。

両脇の首を見てみると、頭部は全て潰れ、どういった形状をしていたかすら判別不能なまでになっていた。

「魔界へ帰れ、ここはもう一度お前が支配するには時代が進みすぎた」

出た言葉は、哀れみか警告か。

八岐大蛇の体は煙を吹き上げながら輝きを放っていった。

「おのれ…………この体ではいささか不利だったか…………では仕方あるまい!!」

煙から人影が現れ、ソロムに蹴りを放った。

ソロムはそれを軽く回避すると、人影は屋上の床に足をめり込ませていた。

「…………我が名は八岐大蛇、この國を支配する者だ!」

硝煙から現れたのは、真っ赤な和服を着た美しい女性だった。

「…………ピュー、驚いたな、こんな別嬪さんがあれを正体としてるなんて。じゃああの図体でも魔族の中じゃさぞ美形なんだろうな」

口笛を軽く吹き、ソロムは背中に乗せた快の方へ手を回す。

「軽口言ってる場合ですかって……うあっ!?」

服の裾をつままれ、快はソロムの背中から下ろされる。

「ちょっと待ってろ、そして見てろ」

ソロムは八岐大蛇を前に平然として軽く笑んでいた。

八岐大蛇は、背中に生やした背びれに両手をやると、手には剣が握られていた。

「これで、貴様の首を何度も叩き切ってくれる!」

「ほう、まさかの二刀流か。こいつぁ驚いた」

ソロムは恐らく八岐大蛇の全力の殺意を目にしても尚、笑みを崩していなかった。

「我が背びれはちと特殊でな、引き抜けばより硬く、鋭い形となる。……………うっかり人間に渡した時にはなんといったか」

剣を構え、八岐大蛇は牙を向きだす。

「そうだ、思い出した……………」

舌を何度も出し入れし、獲物を見定めるような視線をソロムに送っていく。

「天叢雲剣だッ!!」

八岐大蛇は目を光らせ、一気に床を蹴り飛び掛かる。

振り上げられる二刀は、傍観している快の目にはまるで八本の腕であらゆる方角から攻撃を仕掛けているように見えた。

「………そらよッ!!」

ソロムは向かってくる八岐大蛇の腹に、拳を入れる。

穴が塞がり、完全に回復したはずの腹は瞬時に、衝撃が加わると共に――上半身と下半身に分断された。

「へ…………嘘でしょう………相手は二刀流で……………あんなに殺意剥き出しだったのに?」

快は、その惨状を目の当たりにしている筈なのに、信じられないでいた。

上半身が上空から床へ落ちると、八岐大蛇は舌を出して床を這った。

「殺す………絶対殺す……食い殺してやる…………!!」

八岐大蛇の目からは、涙が浮かんでいた。

「ほぉ、面白れぇ。やってみろよ、でもその前に」

瞬間移動に限りなく近い高速移動で距離を詰め、ソロムは八岐大蛇の頭を掴んだ。

「ひっ………」

「なぁ、魔界からこっちへ来る前に何か変なことしてなかったか? ………主に、言葉通りの人間関係で」

八岐大蛇の頭を掴むソロムの瞳は、妖しく輝いていた。

「………此方は、何も知らん! これ以上聞くならば貴様を末代まで………………!!」

「あっそう、じゃあ俺がその末代だな」

必死の言葉に、ソロムは無慈悲に頭を空へ掲げ、片腕を握りしめる。

拳の先には、八岐大蛇の上半身。

「くっ…………ああ! 殺したければ殺せ! 我々魔族は肉片さえあれば蘇る! 肉片が消えようとも魂は魔界へ帰る! 魂が冥界へ行く事もあるが…………………」

喋り続ける八岐大蛇に、ソロムは淡々と返した。

「じゃあ、その魂も消滅したらどこ行くんだ? 教えてくれよ」

その質問は、魂ごと肉体を消滅させることは造作も無い事だという、八岐大蛇への”死刑宣告”。

快は、その尋問の様子を見てソロムへ向かった。

「ソロムさん、もういいでしょう!?」

「? おいおい、大事なトーキングの最中だぜ? それに、どっちみちこいつを魔界に返さなきゃ地上界に危険が及ぶ」

そうソロムが返すと、八岐大蛇の下半身がソロムの首へ躍りかかった。

「危ないッ!」

快が叫ぶ間も無く、ソロムは振り返らず拳一つで反応し、当たった下半身は塵一つ残さず消滅していった。

「な………なんて力だ……………」

「そら、祟ってみろよ。呪ってみろよ。俺はそういうのに慣れてるんでな。次はどんな事をしてくれるんだ?」

「もう一度言う。お前、地上界へ向かう前に誰かにそそのかされなかったか?」

ソロムの瞳は、より輝きを増し睨みつけて捉える。

「………くっ………もはやこれまでか………ええい! もはや此方の魂など惜しくない! 強者を前に潔く負けて散るも我が定めよ!!」

辞世の句に等しい叫びを聞き届け、ソロムは拳をゆっくりと握る。

「町のネオンをよく見ておけ、これがお前が本当の意味で死んだ時代………新しい日本の姿だ」

頭を持ち上げ続けるソロムを見て、快は―――ソロムに体当たりした。

「おっと、お前何してるんだよ」

体当たりはソロムの腰に当たり続け、びくともしなかった。

「もう、やめてあげましょうよ!」

決死の体当たりは、身体を持ち上げられた事で止められた。

「こいつも”死ぬ”覚悟ができてるんだ、なら魔王の器としてここで華々しく散らせてやるべきだ」

今のソロムは、敵を前に無敵にして冷酷無比。

それでも、快は止めさせずには居られなかった。

「でも、それでもせめて殺さないであげましょうよ………! 八岐大蛇さんだって生きてるんですよ!」

快の言葉に、ソロムは冷たく言い放った。

「”生きている”。そうだな、お前達人間はその言葉を盾に、弱者強者の命に差別を設ける。弱り切っている命を前に公平を宣いながら、平等を殺す」

「俺はね、そういうのが嫌いなんだ。 俺からすれば、命は皆全部完全に平等だ。だからこそ、容赦なく殺す。これは強者の特権としてではない。俺なりの命への敬意だ」

そう語るソロムの声色は、快には激情を隠しているように聞こえてならなかった。

「……弱りきっている………なら!」

快はポケットの中から印章封印札シジル・カードを取り出した。

「僕は絶対に生かす、例えあなたがそう思っていても、終わらせていい命なんてない!」

そう言った瞬間、魔法陣が印章封印札シジル・カードの前に現れる。

「それは西洋の悪魔しか封印できない筈じゃ――」

ソロムが快の方に顔を向けると、八岐大蛇の上半身は魔法陣の中へ吸い込まれていった。

契約封印エンケイジ 魔王の器ダーク 八岐大蛇ヤマタノオロチ 総合脅威度 A』

八岐大蛇を吸い込んだ印章封印札からは、機械音声のようなものが鳴り、光り輝いた。

そして、印章封印札シジル・カード本体の銀はより深い銀色へと染まった。

「………馬鹿な」

ソロムがそう零すと、したり顔で快は微笑を浮かべた。

「総合脅威度がAっていう事は、かなり強いのかな………ラッキー」

快の呟きに、ソロムは反応を示す。

「あぁ、実質最強クラスと考えていいだろうな」

「………? 最強クラス?」

ソロムのその言葉に、快は疑問を浮かべる。

「まって、最強クラスだったのになんでソロムさんはああやって相手どれたんです? 流石に慣れ って言葉だけじゃ納得できません」

「内緒、今んとこはな」

人差し指を口に当て、ソロムは言った。

「とにかく、これでわかったろ。俺がお前の思うような怪しい奴じゃないってこと。秘密にしてる事は多いが、事実俺は各世界のバランスを守るために戦ってる」

両腕を広げ、快へ笑顔を見せる。

「あ、そうそう。例の伝えなきゃいけない事を話そう」

ソロムは快の前でしゃがみ、耳打ちする。

「元凶の一つは、この町天護町内のどこかに居る。しかも留まり続けてる」

「えっ………?」

「俺ももう一つの元凶がどこにあるか探し続ける。だが、この町の事は住んでるお前が一番理解してるだろう」

ソロムはそれだけ言って、快を再び背中に背負う。

「んじゃ、掴まってな」

ソロムの背中に快はしがみつくと、景色は再び切り替わった。

快が正面を見るとそこにはホテルが建っていた。

「え、ここに一人で泊まれる訳ないじゃないですか………」

冷静にそう言うと、ソロムは笑って答えた。

「何、宿泊費は俺持ちだよ。それにチェックインするのは俺とあんた。つまり実質俺が保護者として認識されるから大丈夫だ」

和やかに返すソロム。

その様は、先ほどまでとはまるで別人の様に感じさせた。

「だと………いいんですけど」

「あと、これから俺たちは一緒に行動していく仲間なんだ。敬語使うな、気楽にいこうぜ」

笑って背中を叩くソロム。

「うん………」

(もし、僕に兄が居たらこんな感じなんだろうか。なんて)

少し、肩の力を抜く快。

だが、ホテルの自動ドアをくぐった瞬間脳裏に、アイネスとの記憶がよぎる。

「? どうした快。疲れたか?」

顔は、自然と暗くなっていたようで快は隣で歩くソロムに声を掛けられた。

「大丈夫、ちょっと疲れただけ。…………部屋に着いたら、寝かせてくれない?」

「おっけ、あと部屋は相部屋な。俺ちょっと憧れてたんだ、誰かと寝るの」

快の態度をよそにソロムは無邪気に笑う。

「外国人って距離感詰めるの早いって聞いたけどソロムってそのタイプなんだ…………」

「へへっ、まぁいいだろ。腹の探り合いは大事だぜ? 寝落ちする前に、色々聞かせてくれよ」

受付を済ませ、部屋へ向かっていくソロムと快。

縮まってゆく距離とは裏腹に、募っていく不信感に身を焦がされる快。

 ソロムとは何者なのか、どこからやってきて何故そんな目的のために戦っているのか。

ソロムの戦いに意味があるのか。

そして――――二つの元凶の正体とは何か。

何故、人々が無残にも殺されなければならないのか。

アイネスとの会話で得た”銀髪の怪物”とはソロムの事なのだろうか。

夜空を照らす星々の下に建つホテルの中、快はただカードと指輪を握りしめる――――。

~新登場キャラ脅威度紹介~

八岐大蛇 物理力 A 肉体 A 知識 D 知恵 D 瞬発力 B 魔力 B 再生力 A 総合脅威度 A

爵位 魔王の器

階級 魔王の器

種族 亜竜属

正体 かつて出雲の国で猛威を振るい、娘を喰らっていた魔神そのもの。瞳はアカカガチの如く紅く、八本の首をうねらせるその体は天を衝く程に巨大。

巨体と言えど蛇の俊敏性は失われておらず、物理法則を無視し、質量と速度を乗せてあらゆる場所を動き回る。

伝説上では須佐之男命という日本の神に退治されたとされている。

が、実際は肉体が滅びた後、魂が冥界へ行くことを許さず、怨念によって魔界へ行き原初の魔界を統べる魔王の器として蘇った。

鱗は非常に硬く、天界の神々――現代で言う日本の位置の天界に居る神でも特に力自慢だった須佐之男命の持つ十束の剣で、酔って緊張が解けた状態でしか傷をつけられなかった。

神話では尾を切り裂いた所で天叢雲剣(草薙剣)が出てきたとされているが、八岐大蛇の能力として敵意を剥き出す事で背びれは硬質化し、鋭利な武器となる能力を持っている。

即ち、それが偶然剣の形を取っていたにすぎないのである。

また姿形の似通ったヒュドラ族とは近縁種に当たる。

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