宝石子供

子供は、宝石。

なぜかって?

それはとても大事で、輝いているから――。

みんなは、知っています。

子供は、宝石だってことを。

宝石は、ぴかぴか輝いて、とても綺麗で。

子供は、知りません。

自分が、宝石だってことを。

自分の輝きも、どんな色かも知りません。

なので、みんな、思い思いに自分たちの宝石を磨こうとします。

ピカピカに、みんなの思う“綺麗”にしようとして。

でも、気づいて。

子供は、宝石。

宝石は、乱暴にすれば壊れてしまいます。

せっかくの色も。

大事な、そのこも。

子供は宝石。

いるだけで、大事なのです。

みんな、子供を大事にします。

ある家の子供は言いました。

「どうして、僕を大事にするの?」

お母さんは答えました。

「お前は、宝石だからだよ」

小首をかしげて、子供はふしぎそうな顔をします。

お母さんはそんな子供に、笑っていいました。

「それはね、なによりもきれいで、お前にしかない色をしているからだよ」

「僕にしかない、色?」

「そうだよ、だから代わりがきかないし、お前以外にその色の子供はいないの」

お母さんは、ぐつぐつ音のなるなべを置いて、子供の頭を撫でます。

子供は、あったかいお母さんの手を、ほっぺで返しました。

子供の顔は、何よりもキラキラ輝いています。

それは、宝石のように。

子供は、宝石。

おしまい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました