【りんごと糸に冬】
寒いね。
あぁ、寒いね。
私の心に、稼働する暖気と一緒に温もりを与える。
空間は私ときみの談笑に包まれる。
雪景色のおかげで、きみの結晶の肌はりんごになって。
こたつを挟んだ先の、りんごを私は思わずそっと撫でる。
思わずかじりついてしまいたくなって。
こたつを挟んだ先の、りんごに口づけする。
もっと真っ赤に。
もっと甘くなった。
そんなりんごに、触れて。
撫でて、愛でていたかった。
談笑も、聞こえていた声も雪景色と消える。
伸ばした手は、骨ばって何もつかめずに。
震えながら、白くなった糸を頭に垂らし、私は冬を閉じる。
寒いね。
あぁ、寒いね。
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